「ゴルフをしない私」から「ゴルフをする未来の私」へ

10年前まで月1ゴルファーだった私も、今では月1~2回練習場に行くだけの「ゴルフをしない人」です。経済的な事情で一旦ゴルフから身を引きつつ、それでも遠い未来で再開するのを夢見ているオヤジは、今の日本に大勢いると思われます。そんなオヤジの、遠い未来に再開される自身のゴルファー像を夢見るブログを作ろうと思います。

ゴルフ語り(5)

左肘が真直ぐに伸ばされたゴルフスイングは、そうでないスイングよりも美的に見える。


プロにとってこの「美的」であることは重要だ。


ゴルフクラブのメーカーが自社のゴルフクラブなどの製品を販売する重要な戦略のひとつに、その製品を人気プロゴルファーに使用させて、彼らにトップレベルの成績を維持させる「広告効果」を狙ったやり方がある。俗にいう「スポンサー」だが、プロゴルファーがツアー生活を維持する為に必要となる莫大な経費(彼らが獲得した賞金だけではとても維持できない巨額なもの)を、そういったスポンサーが全般的にサポートする形でプロゴルファーと契約する訳である。


一方で一握りのトッププロがそうやってスポンサーの潤沢な援助を受けて、経済的に恵まれ、より偉大な「ヒーロー像」を形作ることで、ヒーローと同じ道具を手に入れたがる消費者の動向と連鎖した好循環が生まれる見方もできる。現代のゴルフ界の繁栄がそうやって好循環の連鎖によって築かれてきたことは、歴史的事実だと言えるだろう。


例えば、著者が近所のゴルフ練習場に行ってボールを打てる環境が維持されているのも、そういったゴルフ界全体の繁栄があってこそだと思わなければならない訳だ。


よって著者はその事実に概ね前向きな感謝の意を持っているし、その立場を取るべきだと熟知しているが、今回はその「美的である」という面をやや斜めに切り込んでいく話を進めようと思っているので、その点はご了承頂きたい。


さて、憧れの契約プロを支えるスポンサーになりえるようなゴルフクラブメーカーが、広告塔として契約するプロを選ぶ基準を考えてみると、真っ先に思い浮かぶのは文句無く「成績(=結果)」である。


だが、真のトップとはいつの時代でも世界にだた一人の存在の筈で、ではその者が使う以外の道具は全てそれ以下の存在に落ちぶれてしまうのかというと、そんなに話は単純では無い。


ゴルフの成績以外にも「今後の活躍が期待される有望な能力があると認められる若手ゴルファー」などが有望株に含まれるからだ。


「今後の活躍が期待される」といっても、全てのプロゴルファーはある意味全員がその条件に含まれる存在であるから、(アマチュア時代の戦績以外に)まったく別の条件が加味される可能性が十分考えられるだろう。


著者が思い付く順に、その条件を書き出してみようと思う。


・年齢・ルックス・スタイルの良さ(セクシーさ)・ファッションセンス
・飛距離(飛ばし屋)
・スイングフォームが美しい
・企業イメージを損なうスキャンダルの少なさ(=タレント的好感度の高さ)
・学歴(偏差値的な意味ではあまり重要視されていない)


先に出した「左肘が真直ぐに伸びているスイングは美的である」という話に戻ると、たとえゴルファーが真直ぐに打球を飛ばして成績を維持していても、彼の左肘が曲がって見た目が良くないスイングをしていると、その美的な欠点を指摘される事態になる可能性は決して低くない。


逆に(誰もが知っている)プロゴルファー石川了は、ゴルフ界随一のルックスやスタイルで、ファッションセンスも良く、それゆえ女性人気もずば抜けて高い(嫉妬!)。さらに彼のスイングフォームはとても美しいので、彼がどれだけスランプに陥って成績が目減りしても、スポンサーはなかなか広告塔としての彼を見限ることが無い訳だ。


というのは、スポンサーはあくまで自社のゴルフクラブが売れる広告塔としての価値でしかプロゴルファーを見ていないので、ゴルフ競技の成績がどれだけ良くても、全体的にセンスの悪いオッサンみたいな風貌やスイングフォームがカッコ悪い感じだと、スポンサーは契約を結ぼうとはしないのは、当然だとも言える。


ところが、そういった事情はあくまでプロの世界に限ったことであって、全体的にレベルの低いアマチュアの方はあくまで結果が全ての実力の世界が維持されている。どれだけスイングの見た目が良くても、それで100叩きしていたらカッコ悪いだけだからだ。


アマチュアは成績だけが羨望の眼差しで見られる尺度となっていて、いわゆる実力主義の世界が保たれている訳だが、プロは成績だけではダメだという訳である。


仮にゴルフクラブメーカーとスポンサー契約が結べないプロゴルファーの存在を考えてみると分かりやすい。契約の無い無所属のプロゴルファーはツアー競技に参戦する為に必要なだけの十分なサポートが得られないので、特に経済面で困窮する立場に追い込まれるので、間違いなく成績を維持するのが難しくなる。


スポンサー契約を結んでいるプロは、その面では圧倒的に優位な立場で競技に臨むことが出来る為、仮に同程度の実力の持ち主で競い合ったら、スポンサーの後ろ盾が無い経済的に困窮しているプロが勝てる見込みは殆ど残っていないだろう。


つまりスイングフォームなどのプロゴルファーの「見た目の良し悪し」は、プロ競技の成績に反映されるという「流れ」が実在化すると結論付けられる訳だ。歴史的に繰り返されることで、こういった「美的なもの」と成績との相関関係があるという実感は、プロの世界で確実なものとなるだろう。


「左肘が真直ぐに伸びるスイングの方が結果が良くなる」という結論は、その意味では確実に正しい。だが、もう一度書き直すが、「左肘が真直ぐに伸びている方が成績が良い」という結果はプロ競技に限ったもので、物理的な意味で本質的に正しい解を得た訳ではない。


純粋に物理的な視座にだけ立って考えると、スイング時の左肘関節と打球との関連性(良し悪し)は、それを口にしようと色々言い訳をすると、ほとんど喧嘩を売る際のインネンみたいなレベルに落ちてしまうがオチで、まあ論理的に正しい解だとは決して言えないだろう。


それでも今後もプロは、より美しいスイングを目指して、アマチュアゴルファーが憧れる存在そのものになろうと努力し続けるだろうし、その努力が今後のゴルフ界の繁栄の鍵を握っていることも確かなことであり続けるだろう。

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