「ゴルフの基礎理論」~身体制御の基礎知識~(4)
前回の話で、物体が頭に近くなると「透視図法(=パース)」とまったく同じように拡大化され、逆に遠ざかると縮小化される事が分かった。
そのような透視図法(=パース)による現象で最も分かりやすいものは、次のような「正面から見た線路」の写真である。
私達はあらゆる物事には「見た目で騙されてしまう」という傾向があるものと思い込んで、こういった「頭に近づいた物体が拡大化(=巨大化)する」といった話に対して鵜呑みにできない反応をしてしまうものだ。
確かに私達の視覚の中では、あらゆる物体がパース的に拡大化したり縮小化するような現象が見て取れる訳だが、そのような「パース的な現象」と、私達が実際に目の前の物体を触った時に感じる「触角」が本当にリンクしているのかと、最初は疑念しか持てないと思う。
だが、答えから先に言えば「YES」であって、実際に私達が目の前の物体を触った時に感じる「触角」と、パース的に「大きさが変化する現象」は密接にリンクしている訳である。
それは論理的に証明できることでもある。
線路の写真をもう一度見直して頂きたい。
近くにある2本の線路は、写真のほぼ中央にある夕日に向って伸びていき、その延長上にある「とたる1点」に集合しつつあるのが見て取れる筈だ。このように線路のような「平行な2本の直線」を永遠に延ばすと、最終的に1点に集約されてしまうような構図になることを「パースベクティブ」と呼ぶ。
特に線路の写真のような構図を中学校の美術では「1点透視図法」と呼んで習っていると思うので、誰でも知っている事だとは思う。
さて問題は次である。
貴方は(図のように)巨大な土管のような「円柱」を横に倒した構造の中に居ると想像して欲しい。円柱には(図のように)柱に沿って平行な線が何本も引かれて、貴方から見えている状態だとしよう。
これらの平行線は透視図法的に「とある1点」に集約されるように交わっていく筈だが、貴方の目の前にある平行線の数々は、あくまで平行なままの関係性を保っているかのように見えている筈である。
貴方はこの不思議な現状をどのように理解するだろうか?
(次回に続く)