「ゴルフをしない私」から「ゴルフをする未来の私」へ

10年前まで月1ゴルファーだった私も、今では月1~2回練習場に行くだけの「ゴルフをしない人」です。経済的な事情で一旦ゴルフから身を引きつつ、それでも遠い未来で再開するのを夢見ているオヤジは、今の日本に大勢いると思われます。そんなオヤジの、遠い未来に再開される自身のゴルファー像を夢見るブログを作ろうと思います。

いきなり始まるゴルフスイング(7)

(前の続き)
ゴルフ技術の本質は「ゴルフクラブをコントロールすることである」と書いたが、(書いている著者自身もそう思ったが)当り前すぎる言葉である。


おそらく経験豊富な上級者のゴルファーも含め、「そりゃゴルフはゴルフクラブを使ってボールを打つ競技だから、当たり前だろう?」といった感じで、そこになにひとつ新しい発見や要素を見出せず、無感動に響く言葉にしか聞こえない筈である。


だが、そう思う上級者ゴルファーにしてもそうだが、その当り前の言葉を体現できているゴルファーは皆無である。


例えば、理想の軌道でスイングしようと計算してスイングしたが、実際のスイング軌道が下の方へ大きくズレて、(ボールを打つ前に)クラブヘッドが地面にぶつかり、速度が大幅に減速してボールがまったく飛ばなくなる「ダフり」と呼ぶミスショットに繋がることは頻繁にあるが、


この頻繁に発生するミスショットが出た場合、多くのゴルファーは「ヘッドアップ」と呼ぶ専門用語(笑)のようなミスを表す言葉をよく口にする。


「ヘッドアップ」とは、スイング中にゴルファーの頭が大きく動いてスイングの回転軸がブレてしまう事から、様々なミスに繋がる恐れのある「典型的に悪い動き」の総称として、ゴルフ界ではよく使われている言葉のひとつである。


余りにもよく使われる言葉なので、とにかくゴルフでミスショットが出たら「あ、ヘッドアップした」とさえ言っておけばとりあえずOKみたいな(笑)、そういう便利な所もあるぐらいで、別の意味で重宝されている事情もあるのだが、


(逆に)これがミスの根本原因であると考えて、この「ヘッドアップ」の悪い動きを撲滅しようとする研究熱心なゴルファーも大勢いるのが現状である。


だが、この場合、そのゴルファーは「ゴルフクラブそのもの」ではなく、スイングする自分自身の「頭の動き」を修正しようとしている事に気が付いていない。


え、と思うかもしれないが、ここは重要なポイントなのである。


著者はあくまで「ゴルフクラブをコントロールせよ」という意味で書いたのだが、事実としてゴルファーの殆どは、ゴルフクラブそのものをコントロールしようとはせず、ゴルファー自身の「頭」とか「右足の動き」とか「グリップの形」とか「スイング全体のリズム」とかのコントロールに集中するのである。


著者はこれを不思議に思うのだ。


科学的な見地からすれば、理想的なスイング軌道で動かそうとコントロールした筈のゴルフクラブが、現実の結果としてかなり下向きに軌道がズレて、地面を叩く訳であるから、「何故ここまで違った結果になったのだろう?」と、その謎解きの方を純粋に考えるべき事態である筈なのだ。


科学というより論理と書くほうが良いかもしれない。


例えば、100mlのコップに50mlのスプーンを使って水を入れようとしたら、当然そのスプーン2杯目でコップが一杯になる筈だが、実際にやると何故か2杯目で水が溢れてしまったとする。こんな奇妙な現象が発生したら、真っ先に疑うべき原因は以下の3通りになる筈である。


①スプーンの量は正しかったが、コップの容量が100ml以下であった。
②コップの量は正しかったが、スプーンの容量が50ml以上であった。
③両方とも違うデタラメの容量だった。


もしこれをスプーンを動かした「実験者の動き」が悪い動きだったので、スプーンに溢れるほどの水を入れてしまったのが原因だ、と考えるのだとしたら、その推理は少し違うような気がしないだろうか?


(それとも、そう思う著者の思考が変なのか?)


料理の味付けで、みりんをビンごと振って適量入れる料理人がいたとする。そして、それを真似て料理を作ろうとした人が、みりんを入れてみたら味がまったく違っていたとする。


この場合、その料理人のみりんを入れる動きそのものが「入れるべきみりんの量」を決めるポイントになるのは分かる話だが、前のケースでは計量スプーンを使っているので、「実験者の動き」が原因である可能性は、かなり低くなるものと考える方が妥当である。


これと似たような考え方をすると、ゴルフにおける「ダフり」の原因を、以下の反証から思考しようとするだろう。


もし仮に「ヘッドアップした悪い動き」でスイングしているゴルファーが、その悪い動きを巧みに操り、計算通りのショットを練成し、打ち出したい希望通りの弾道を生み出せたのだとしたら、それは見事に「ゴルフクラブをコントロールした」ものだと考えることができる。


逆に「ヘッドアップを一切しない、理想的に華麗なスイングフォーム」によってスイングしたのだが、思惑と違ってそのスイングからミスショットが連発するように出たのならば、それはそのゴルファーが「ゴルフクラブのコントロールに失敗した」ものであると考えるのが妥当である。


上記の反証内容は、実際のゴルフをする中で幾らでも見かけるケースのある現象であると言える。


例えば、素人ゴルファーのスイング軸がブレブレの汚いスイングフォームから、何故か?ナイスショットが安定して打ち出されるケースは幾らでも見かけるし、その逆で、とても綺麗なスイングをするプロゴルファーが、素人目では全く分からない些細な違いがあるのか?OBを連発してしまう程、ミスショットが出てしまう荒れたプレイになる例も数多く見受けられる。


つまり、悪い動きと称される「ヘッドアップ」などの現象と、ミスショットとの間に直接的な因果関係があるものとは認められないという結論に達する訳である。


この結論から、著者は次のことを提言したい。


ゴルファーが理想のスイング軌道にコントロールしようと計算し、緻密にスイングしたにも関わらず、結果としてゴルフクラブが違う動きをした。そのような「奇妙な現象(=ミス)」が現れた場合、まずゴルファーは冷静に、そして謙虚にその事実を認めて、その奇妙さの原因を考察し、ユニークな仮説を幾つも立てては、実験と反証を繰り返す。そうした科学的な態度によって、これらのミスの原因を「真に解明する努力」を開始すべきである。


念の為、「ゴルフクラブのコントロールに成功したが、ミスショットが出る」という稀有なケースについても考えておこう。本来ならスイングのコントロールには見事成功したのだから、ボールは理想的な弾道で打ち出されなければならない。それなのにミスになったという正に不思議なケースの考察という訳である。この場合、考えられる原因は、


①ゴルフクラブに損傷か欠陥がある。
②ボールの重心が球の中心から大きくズレている。
③両方とも欠陥がある。


という3つのケースが考えられるだろう。だが、どれも現代のゴルフクラブやボールの質の高さを考えると、無視できる程度のものである。確かに道具の欠陥品は存在するかもしれないが、それが原因で生まれるミスショットはミス全体の1%にも満たない割合にしかならないからだ。


よってこの反証は成立しないものとして先に進めることにする。(このブログでは。)


(続く)

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