「ゴルフをしない私」から「ゴルフをする未来の私」へ

10年前まで月1ゴルファーだった私も、今では月1~2回練習場に行くだけの「ゴルフをしない人」です。経済的な事情で一旦ゴルフから身を引きつつ、それでも遠い未来で再開するのを夢見ているオヤジは、今の日本に大勢いると思われます。そんなオヤジの、遠い未来に再開される自身のゴルファー像を夢見るブログを作ろうと思います。

ゴルフショットの方向合わせ(1)

ゴルフスイングの究極的な姿は、何も考えずとも、やるべきことを全て自然に成し遂げてしまえる「所作の連続体」のような存在である。


まるで仙人みたいな領域に達したゴルファーの姿という訳だが、もしそのようなレベルのスイングがこの世にあるとしたら、そのスイングの中にはゴルフで必要とされる方向性や飛距離などの要素が全て含まれていなければならない筈だ。そんな神的レベルのスイングなら、それを方向性や飛距離などの要素に分けることなど、不可能になっているに違いない。


プロゴルファーとはある意味その領域に達している存在の人であるから、彼らに自分のゴルフスイングの方向性の決め手となるものを抽出して、我々素人に教えてくれと注文したとしても、返答にかなり躊躇してしまう筈だ。ゴルフ界のバイブル的存在の「モダンゴルフ」を執筆したベン・ホーガンも、その点ではかなり苦労したに違いない。


「方向性と無関係であるゴルフスイングなど存在しない」という他、答えようがないというのが、彼らプロの実感(本音)である筈だからだ。


そもそもプロゴルファーが自分のスイング理論的な背景をキチンと理解していて、それを言葉に置き換えて我々素人に説明できてしまえるという時点で、そのような状態はあまり良くないのかもしれない。


本来なら神の領域を目指して精進すべき立ち位置にいる彼らが、わざわざ素人レベルに感覚を落として、素人にも理解できる簡単な動作や言語に変換する手間を掛けて説明しているということだから、もちろんそれは如来や菩薩のような価値ある行為に違いないが、世界トップレベルのゴルファーを目指すとしたら、それはマイナスにしか成り得ないのではないだろうか?


これからこのブログで展開する「ゴルフの方向取り」の技術は、そんな仙人みたいなプロレベルの技術には程遠いレベルの「月イチゴルファー」の心身でも扱えるシロモノである。


ゴルフ競技の方向取りでよく見かける光景は、次のふたつである。


ひとつ目は、ゴルファーがボールの後方に真っ直ぐに立って、そこから目標とボールを直線で結ぶように狙いを定める姿である。


もうひとつは、ゴルファーがアドレスする付近に立って、既にグリップしたゴルフクラブをワッグルするように揺すりながら、目標に狙いを定めるように、ボールの後ろ側にクラブヘッドを微調整しながらセットする姿である。


これは球聖ボビージョーンズがアドレスに入るまでの所作を収めたフィルムである。

Bobby Jones - Proper Backswing



ボビージョーンズは史上初で、未だその記録が破られていない年間グランドスラムを達成した唯一のゴルファーである。


ゴルフにおけるグランドスラムとは、今で言うところのマスターズ、全英オープン、全米オープン、全米プロのメジャー4試合を全て優勝することであるが、ボビージョーンズはグランドスラム達成どころか、1930年に開催されたメジャー4試合を全て優勝してしまう「年間グランドスラム」という偉業を達成したのだ。


当時のゴルファーにとってボビージョーンズの存在は神そのものであった筈で、だから彼には「球聖」という称号が付けられたのだろう。


この球聖と瓜二つの所作でアドレスに入っていたのが、現代スイング理論の基礎を創ったベン・ホーガンである。彼らの活躍した年代は違っているが、ボビージョーンズが活躍した時代にホーガンはゴルフを始めていたので、その際、球聖のスイングをソックリ真似るように練習をしていたとしても、まったく不思議ではない。


ボビージョーンズがこのフィルムにあるような所作でアドレスに入るようになった経緯は定かではないが、彼がゴルフ発祥の地であるイギリスのゴルフ技術の影響を受けていた可能性は否定できないだろう。1900年代初頭のゴルフ界では、発祥の地イギリスのゴルフ技術こそが世界最先端であった筈だから、当時のイギリスでトッププロのひとりであったハリーバードン(1914年の全英オープン優勝等)などの影響も色濃く受けていたに違いない。


よって、ボビージョーンズのアドレスに入るまでの所作は、おそらくゴルフ発祥の地であるイギリスのリンクスゴルフで培われた技術が土台となっているものと考えられる。リンクスゴルフは、ボールが地を這う意味の「ゴロフ」という呼び名が正しいともいえる、ゴロを打つショットだけで形成されるゴルフ技術のことだ。


イギリスのリンクスコースと呼ばれるゴルフコースは、偏西風の雨風をモロに受ける厳しい海岸沿いの場所にあるので、そこで培われたゴルフ技術はそういった厳しい雨風の影響を受けにくい、地を這う低い転がし中心の打撃技術として培われていった。


つまりイメージを変えてみると、ゴルフスイングとは地を這うゴロを打つ為のものだった訳だ。


追伸:サムスニードのアドレスの入り方も抜群なので、是非動画リンク参照されたし。



Sam Snead: A Legend To Learn From


(続く)

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