「ゴルフをしない私」から「ゴルフをする未来の私」へ

10年前まで月1ゴルファーだった私も、今では月1~2回練習場に行くだけの「ゴルフをしない人」です。経済的な事情で一旦ゴルフから身を引きつつ、それでも遠い未来で再開するのを夢見ているオヤジは、今の日本に大勢いると思われます。そんなオヤジの、遠い未来に再開される自身のゴルファー像を夢見るブログを作ろうと思います。

ゴルフショットの方向合わせ(17)

(前の続き)

たとえ水平な床の上であっても、使うクラブの番手によって、ボールとゴルファーの距離は微妙に違う。それによって、本来なら全部同じである筈の「水平な地面」の見え方が、番手ごとに変化することが明らかにされた。


その変化は非常に察知しにくいものだから、階段を観察して、段ごとに変化する床の見え方を知れば、それが理解しやすくなるだろうといった話を前回したばかりだ。


だがその一方で「人の思い込み」というものはかなり強力だから、階段を観察する程度の努力では、クラブの番手ごとに変化している微妙な床の見え方の違いを察知するには至らないことを、著者は重々承知している。


例えば、立った状態で机の上を見る場合と、そこからイスに座って机の上を見る場合とでは、机の上の面積や角度に大きな変化が生じる訳だが、このような当然の変化であっても、人は脳内で「立っても座っても机の角度は同じ」といった知識による編纂処理がなされて、、実際にその人の目には、机の上の見え方に何の変化も起きていないかのような「錯覚」を覚えてしまうものなのである。


(目の前で起きている変化が無かったことにされてしまう?!)


前回紹介したばかりの「階段」についてもこれと同じことが言える訳だ。


次の図を見て欲しい。


この図はアイソメトリックと呼ばれる、パースを無くした特殊な図法で描いた「階段」の絵である。このアイソメトリック図法で描いた階段は、画面の上を45度の角度で統一した直線で構成されている。


パースがない図なので、階段の奥が巨大化したような奇妙な感覚に陥るかもしれない(実はその違和感こそが、正しい感覚なのだが・・)。


特にPCの大型モニターで見るとその違和感が強くなるから、モニター画面を1.5メートルほど遠ざけて見た方た落ち着くだろう。(スマホの小さな画面なら、よほど近付けて見ない限り大丈夫である。)


落ち着いてこの絵を見ることができたら、図面の中の階段が全て同じ平行四辺形で構成されていることに着目して頂きたい。


確かに階段は図が示すように「等しい大きさの段差が連続した構造」である。その意味では、このアイソメトリック図法による階段の図は、より正確にそのことを表しているかもしれない。


だが、そのような知識(=思い込み)がゴルフに与える影響は無視できない。


コーヒーカップに水を入れて、クラブの番手ごとに変化するボール位置と重なる構図で写真撮影してみた理由は、そのような微妙なボール位置の違いで、それぞれの写真に映るカップの角度が変化してしまう現実を目にしたとしても、実際の人の目というものは、そのような些細な角度の違いを全部相殺するように、脳内で編纂処理をしてしまうものだからだ。


どのボール位置の構図のカップも「ぜんぶ同じ角度である」といった虚構を脳内でリアルに感じてしまえる能力が、人にはあるという事なのだ。


事実、このアイソメトリック図法という「虚構の階段」を目にしてみても、それなりに落ち着いてリアルな階段の図であると思い込めてしまえる筈だ。(大きなモニター画面で見ると違和感を覚えるかもしれないが、画面を遠ざけると落ち着いて見れてしまう筈なのだ)


このような由々しき状態は、ゴルフをするゴルファーの身にも起きている現象であると考えるべきだ。勿論それは、ゴルフショットの結果に懸念すべき機能障害を引き起こす原因となりうるものである。


もう一度この写真を見直して欲しい。



写真のように「リアルな階段」は、パースによって段ごとに角度の違いが生じるものである。


その違いはとても微妙なもので、故にデッサンなどの特殊な訓練を受けた者でも、正確にその違いを掴みにくいというのが現実である。その原因は、人の脳が階段のような単純な構造物を、アイソメトリック的な感覚で「全て同じ角度である」と把握しがちになるからだ。


ゴルフショットの方向合わせに関わる重要な原理は、これまでの説明でかなり理解されたものと思うから、先に進もう。


いよいよ次回から、実際のゴルフで、この懸念すべき「地面の傾斜」についての間違った思い込みや錯覚したものを、著者がどのように「正確なもの」として把握し直し、ショットを行っているのかという、具体的な話に入ろうと思う。


もちろん、このブログで開示してきた中でも最大級に重要な「技術論」であることは間違いだろう。


(続く)

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