「ゴルフをしない私」から「ゴルフをする未来の私」へ

10年前まで月1ゴルファーだった私も、今では月1~2回練習場に行くだけの「ゴルフをしない人」です。経済的な事情で一旦ゴルフから身を引きつつ、それでも遠い未来で再開するのを夢見ているオヤジは、今の日本に大勢いると思われます。そんなオヤジの、遠い未来に再開される自身のゴルファー像を夢見るブログを作ろうと思います。

「ゴルフの基礎理論」~身体制御の基礎知識~(6)

さっそく前々回の答え合せをしようと思う。


どんな問題だったか忘れていると思うので、もう一度書いておく。


【問題】
巨大な土管のような円柱形の物体を横に倒したものを想像して欲しい。その土管の中には人が居て、中から土管の内側を見ている状態である(つまり、下の図のような形だ)。




その円柱には(図のように)横軸に沿って何本もの直線が引かれている。円柱内部に居る人からは、それらの直線が一体どのように見えているだろうか?



【考察と答え】
この問題のテーマは「パース理論」である。


パース理論とは、私達があらゆる物体を認識する際、近寄ると物体は拡大化し、遠ざかると縮小化するといった「パース的な変化」が起きているという、人の認識における法則のことであった。


拡大や縮小といった程度で済むなら簡単な話で終わるのだが、もし私たちの認識に「パース的な現象」が起きているとすると、そういった大きさの変化だけでは済まない、まったく別の問題が浮上することになる。この問題は、それを分かりやすく表現する目的で作ったものである。


(図のように)円柱の内側に沿って引かれた直線は、全て平行の関係性にあるものだと理解できるだろう。(前回の)パース理論の定義によると、平行な2本の直線は「消失点」で交わるような振る舞いを見せる筈だ。


「線路の写真」のような1点透視図法の構図だと分かりやすいが、平行に設置されている2本のレールのような物体は、消失点へ集まるように縮小化されていく様子が見て取れる訳だ。



パース理論によると、2本の平行な直線は必ず消失点へと集約される現象が起きる、とするならば、円柱の内側に沿って引かれた何本もの直線も(全て平行だから)全て「消失点」に向って集合するような振る舞いを見せる筈である。


(前回も書いたが)2本のレールの先にある消失点は、次のようにして求めることができる。




線路レールを固定するマクラギがより遠くにあるほど、そのマクラギを見ている人の目線は水平に近い角度にまで上がっていく。といっても、目線が線路と平行の角度まで上がることは現実的にありえない(マクラギを認識できなくなるからだ)。だが「消失点」は数学的ともいえる「無限大の遠さにあるマクラギ」を見る人の視線と同じ角度、すなわち線路と完全に平行な角度の先にあるものと定義されるものだ。


これと同じように考えると、円柱の内部にいる人が、円柱内部に引かれた直線を見ている構図は、次の図のように解釈すれば良いことになるだろう。


真上から見たこの図では分かりにくいが、円柱の側面に沿って引かれた直線を見る場合、論理的に消失点は円柱の側面と完全に平行の角度になるものと推測される。真上だとかなり分かりにくいので、分かりやすい構図に直してみよう。




これでかなり分かりやすくなったと思うが、人の視野の広さは180度以内だと思うので、(この図のように)正面から円柱側面の直線を見る人の視野の中に、青色の矢印で示した先にあるとされる「消失点」はまず入ってこないだろう。


この図で分かるように、「パース理論」や「消失点」は人の「瞳」の位置と関係が深い奇妙な法則であると言える。


何が奇妙かというと、ちょっと顔を右に向けただけでも、瞳と物体の位置関係は大きく動いてしまうので、その人が認識している世界全体のパースが大きく変化する結果に至ることになるという事だ。


例えば、ゴルフクラブを持って構えているゴルファーがいたとすると、そのゴルファーが実感している構えの感覚は、そのゴルファーがちょっと顔を横に向けただけで、瞳の位置が大きく動いてしまう為、それまで彼が実感していたパースベクティブによる消失点などの関係性が全部大きな変化を起こしてしまうと考えられるのである。


しかし、ゴルファー自身は顔をちょっと動かしただけで、他を変化させたつもりでない。だから、何もパース的な変化が起きているとは実感されていない。


というのは(実は)当然で、感覚的にそのような変化を人は気付く事ができない。


何故なら、パース理論による変化がどのように大きなものであったとしても、その人の感覚器官も完全に同期して一緒に変動してしまうので、地球の自転を実感できないのと同じ理屈で、そうした変化も相殺されて、まったく察知できなくなってしまうからだ。


だが、パースベクティブが変化することは、ゴルファーにとっては大事である。


瞳の位置が動いて、パースベクティブ全体が変化している状況は、ゴルファーの命ともいえる「方向感覚」に大きな影響を及ぼす状態であると言えるからだ。


だから、この「円柱の問題」はゴルファーにとって切実に影響あるテーマとして、取り扱っているのだが、ちょっと話が長くなったので、今回はここまでにしたいと思う。


(続く)

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