「ゴルフをしない私」から「ゴルフをする未来の私」へ

10年前まで月1ゴルファーだった私も、今では月1~2回練習場に行くだけの「ゴルフをしない人」です。経済的な事情で一旦ゴルフから身を引きつつ、それでも遠い未来で再開するのを夢見ているオヤジは、今の日本に大勢いると思われます。そんなオヤジの、遠い未来に再開される自身のゴルファー像を夢見るブログを作ろうと思います。

このブログにおけるゴルフスイングの定義(8)

(前の続き)


ゴルフスイングの「タップ式」を「トンカチでの釘打ち」といった例え方で表現するのは、分かりやすい反面、混乱する可能性が高くなる。


実際に試して貰えれば分かる事だが、釘を打つべきトンカチを「振り子」のように動かし、器用にコントロールして釘打ちする事は、それほど難しい技術ではないだろう。だが、そうして導きだされた「振り子運動のトンカチ」で打つ釘打ち動作は、「タップ式」ではなくて、「ストローク式」に分類されてしまうのでは無いだろうか?


そうなると、以前このブログで「釘打ち」は「タップ式」、「振り子運動」は「ストローク式」であると幼稚に定義した運動理論そのものが破綻してしまう恐れもある訳だ。


例えば、仮に貴方が実際にトンカチで釘を打ったとしても、その動きを「これがタップ式なのか!」と実感する行為に何の意味も無くなってしまうのである。なぜなら、単にトンカチで釘を打つだけなら、その動きが本当にタップ式であるのかを、厳密な意味で定義出来ていない事になってしまうからだ。(もしかすると、貴方のトンカチの動かし方は振り子的なものかもしれない)


タップ式の打ち方として(著者の年代で)真っ先に思いつくプロゴルファーと言えば青木功である。論より証拠、青木功プロの「タップ式と名高いパッティングの妙技」を見て頂きたい。





83年日本プロ最終日 中嶋常幸、ジャンボ尾崎、青木功が・・・




青木功プロのパッティングは、ゴルフ界の中でも極端にタップ式な打ち方として有名だから、「タップ式とはどのような打ち方か?」という意味で、これほど分かりやすいモデルもないだろう。


だが、青木功のゴルフ技術はタップ式のモデルとして、分かりやすい反面、誰にも真似出来ないオリジナリティ溢れる技術として昇華され過ぎてしまって、例外的でもあるだろう。だから、著者の伝えたい技術とは、微妙にニュアンスが違ってしまっている。


著者は「タップ式」を、オリジナリティ溢れる技術として昇華した、誰にも真似しがたい「例外的な技術」として扱いたい訳では無い。


著者がタップ式に求めているものは、それをひとつの「物理現象」として見立てた場合、ゴルフスイングの必要不可欠な条件のひとつに分類される、確実な方法論としての、概念の抽出である。


この青木功プロの動画には、通常とは少し違った(恐らく)パンチショットと呼ばれる特異なアプローチショットをする姿も映し出されている。青木功プロもこのようなパンチショットではなくて、普通のドライバーショットを打っている姿を見れば、それがタップ式なのか、ストローク式なのか、随分見分けにくくなってしまうのである。


実際に見てみよう。




青木功のテクニックを・・・78年ゴルフ日本シリーズ 3日目 最終日 青木 功 優勝!
(19:50辺りで青木が打つシーンが見られる。)



実際に見てみると、青木功プロの通常のショットについては、ごく普通にスイングされているゴルフクラブの動きにしか見えない、という率直な感想になってしまう筈だ。


ゴルフ界の中でも比類なきタップ式のゴルファーであるとされる青木功のスイングでさえ、通常のフルスイングを見る限りにおいては、それがタップ式なのかストローク式なのか、なんとも分かりにくい印象のものとなってしまう。


だとしたら、そもそもタップ式だのストローク式だのといった考え方を採用していたのが間違っていて、本質的なゴルフスイングは実はどれも皆同じで、それぞれのゴルファーが勝手に誤解して、違うものとして分類しようと理論構築したに過ぎない可能性も出てくる。


実はどちらもまったく同じゴルフスイングをしているのだが、それぞれのゴルファーが「タップ式」だの「ストローク式」だのと呼んで、それぞれのスイング現象を認識していた、その違いだけであったとしたら、それは赤色のガラスを通して物事を見ている者が「万事全ては赤色である」と認識してしまうのと同じ理屈になってしまうのである。


認識の違い、つまり通してみるガラスが青色か赤色かの違いだけで、どちらも見るべき対象物が同一であるという分野を現象学と呼ぶのだが、著者の考えでは、タップ式とストローク式は明らかに違う原理・現象として分けるべきものであるといった、理論構築を進めているのだから、この概念を定義する特別な方法論が別に必要となる訳だ。


先人のゴルファー達も恐らくゴルフスイングの違いを見つけて、何とかふたつに分類しようとした筈であるが、では何が問題なのかというと、定義の仕方が失敗している、というのが著者の見解である。


先に示したように、「トンカチで釘を打つ動作」としてタップ式を定義しようとすると、「振り子の動きでトンカチを動かす」という仕方で、その理論が完全に崩壊していまうのを避けられなくなる。


これは現象学的な意味での論理破綻でななく、定義の仕方に問題があったのだというのが著者の見解である。


ここでようやく前回の話で、ゴルフスイングをタップ式とストローク式のふたつに分類する方法として、著者が紹介した「ゼロセンチ・ショット」の意味(価値)が理解可能となる訳である。


「ゼロセンチ・ショット」とは、飛距離ゼロセンチを目指してコントロールショットを打とうとする際、ゴルフクラブを動かそうとしながらも、その動きの中で飛距離を導き出そうとするタイプを「タップ式」、逆にゴルフクラブをまったく動かせなくなるタイプを「ストローク式」として確実に仕分けることが可能となる著者独自の方法論である。


著者はこのブログで定義すべきスイングの運動原理として、この「タップ式」を採用する方向へ舵を切ろうとしている。そして、その定義を確立する為の具体的な方法論として「ゼロセンチ・ショット」を推奨し、それによって厳密な定義と、具体的な「タップ式で打つ技術」を伝えようとしている。


確実に定義できる方法論は、純粋で具体的な技術でもあるからだ。


(続く)

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