「ゴルフをしない私」から「ゴルフをする未来の私」へ

10年前まで月1ゴルファーだった私も、今では月1~2回練習場に行くだけの「ゴルフをしない人」です。経済的な事情で一旦ゴルフから身を引きつつ、それでも遠い未来で再開するのを夢見ているオヤジは、今の日本に大勢いると思われます。そんなオヤジの、遠い未来に再開される自身のゴルファー像を夢見るブログを作ろうと思います。

ゴルフショットの方向合わせ(13)

しばらくぶりの更新だから、少しだけ内容を復習しよう。


ゴルファーが方向合わせの重要性に気が付くのは、それなりのボールが打てるようになってからだ。ボールが打てるようになると飛距離が伸びるから、それまで届かなかったOBゾーンやバンカーにまでボールが届くことが多くなり、次第にゴルファーはショットの方向合わせが重要だと気が付く、という順序がある訳だ。


ゴルフをしたことが無い方にはピンと来ないことかもしれないが、ゴルフショットの方向合わせの技術は、ゴルフスイングそのものと直接的に関係しているのである。


つまり素人的な発想だと「真っ直ぐにボールを打てる完成されたスイング」が先にあって、そのスイングでどの目標を狙うのかといった順序でプレーを進めるものと考えがちになるのだが、ゴルファーが真にやるべき順序はむしろその逆で、先に方向性があって、そこからアドレスを作って、最後にゴルフスイングが形成されるのである。


方向性の物理的な原理はこのブログの「ゴルフ原論(1)」で紹介している。見てもらえれば分かると思うが、驚くほど素朴な仕掛けである。では、何故ゴルフがこれほどまでに難しいスポーツになってしまうのかというと、最初に行うべき「方向あわせ」が想像するよりずっと難しいからである。


「ゴルフ原論(1)」でも説明しているように、ゴルフショットを成功させるには、クラブヘッドを目標に対し真っ直ぐ動かさなければならない。だが、ゴルフコースの地面は99パーセント傾斜が設けられているので、クラブヘッドの動かす方向は、その地面の傾斜に強い制約を受ける形にしかならないのだ。


「ゴルフ原論(1)」で紹介したフォーマットを地面の上に敷いて使うものとして考えると、フォーマットが示すクラブヘッドを動かすべき方向は、ゴルフコースにある「地面の傾斜」とほぼイコールな関係があるものと推測されることになるだろう。


つまり「動かすべきクラブヘッドの方向」を知る最有力な手掛かりが「地面の傾斜」だという話に行き着くのである。


もし地面の傾斜を読み間違えれば、その後のゴルフショットの方向合わせは程なく失敗に終わる可能性が高いという訳だ。


ゴルファーが「地面の傾斜」を理解するには、重力の方向を察知する感覚を正しく磨かねばならない。傾斜を察知する感覚は、その重力方向とまったく同じ意味を持つ「水平な面」との「差異」をデーター化したようなものだからだ。


例えば「5度右に傾いた傾斜」であると察知しているなら、「水平な角度」はそれより5度左側に傾けた面なのである。この「右に5度傾いている」という感覚は、その傾斜面を察知すると同時に、それを水平の角度に直した「水平な面」も同時に認識しているという事なのだ。


仮にゴルファーが5度右に傾いている地面を「水平な地面」だと誤認していたら、単純な理屈で言うなら、そのゴルファーが真っ直ぐに打ち出そうとして繰り出すショットは、右方向へ5度傾いた打球に行き着くしかなくなる訳だ。


つまりは「ゴルフショットの方向あわせ」における本質的な能力は、地面の傾斜を察知する「水平な角度を察知する感覚」を養うことと、ほぼイコールなのである。


著者はその水平感覚を、美術のデッサンを学ぶ上で必要な「はかり棒」を扱うことで、知らぬ間に身に付けていた。だが、その「はかり棒」を正しく扱う技術も職人的な仕事のひとつに数えられる類のもので、これをデッサンの素人がそれなりに扱えるようになるまでどの程度の修練が必要になるのかは、著者も知るところではない。


そこで専門的にデッサンの技巧を学んだ経験のない大多数のゴルファー向けに、著者は次のような策を考えたのである。



これは部屋の中の水平な床にゴルフボールを置いて、その付近の床の角度を、水の入ったコップで測ろうという寸法の写真である。


コップの水がこぼれないように、コップの角度を微調整する感覚が、美術で「はかり棒」を扱う感覚とほぼ同じなのである。(もちろんコップを扱う方が「はかり棒」よりずっと分かりやすいだろう。)


最初の写真はサンドウェッジのボール位置で撮影したものだが、これをクラブの番手ごとにボール位置を微妙にズラしてみたのが、次の2枚である。



これは7番アイアンのボール位置の写真だ。



最後の写真はドライバーのボール位置で撮影したものである。


パース理論的にこの意味を解説すると、(写真のように)ボールのすぐ横に配置したコップの水面は、ボール付近の水平な床の角度と完全に一致する。そもそも床の角度というものはとても察知しにくいのだが、水面で微調整されたコップの角度から、それぞれ床の角度の違いを容易に察することができるという訳だ。


ちなみに最初の思いつきでは、コップの水に(釣りで使う)ウキを浮かべる予定だったのだ。精巧なヘラウキなどを使えば、垂直方向がかなり精密に分かりやすくなると思ったのだが、我が家には釣り道具の類が一切無かったので、残念ながらこの案は却下された(笑)。


(続く)

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