「ゴルフをしない私」から「ゴルフをする未来の私」へ

10年前まで月1ゴルファーだった私も、今では月1~2回練習場に行くだけの「ゴルフをしない人」です。経済的な事情で一旦ゴルフから身を引きつつ、それでも遠い未来で再開するのを夢見ているオヤジは、今の日本に大勢いると思われます。そんなオヤジの、遠い未来に再開される自身のゴルファー像を夢見るブログを作ろうと思います。

ゴルフショットの方向合わせ(18)

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プロゴルファーの解説を聞いていると、ゴルフスイングの方向性は「ゴルフスイングそのもの」で決まるものだと理解されてしまう。


だから、スイングフォームが真っ直ぐに飛ばせない感じに崩れていたら、その「崩れた部分」を改善しようとするし、ゴルフショットの方向性も「アドレス時の体の向き」の問題として考えるしかなくなる。「アドレス時の体の向き」を正しい方向に向けようとすると、「スタンスの向き」や「両肩を結んだライン」などを気にしながらゴルフをすることになるだろう。


「パース理論」を根底にすえる著者には、そのように「アドレス時の体の向き」を気にするゴルファーの気持ちがよく理解できない。


著者は以前、アドレス時の体をメチャクチャな方向に向けて、そこからボールを打ってみる曲打ち的なユーチューブ動画をUPしたのだが、実際に著者がゴルフをする時も、スイング中にバランスが保てるように気を配る以外、特にアドレス時の体の向きを気にすることは無いのである。


そんな著者にとって「ゴルフショットの方向合わせ」は(体の向きを合わせるのではなく)ボール付近の10~15センチ以内の地面に「線」を引くことである。

 

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これまで説明してきたように、ゴルフショットの「方向性」は10~15センチ以内の狭い範囲に限定した「地面」の傾斜を把握することで、それとほぼ同時に得られる「重力方向の感覚」に由来するものだ。


ボール付近の地面の傾斜によって得られる重力方向の「感覚」を、実際にショットを打つゴルファー自身の手元にリンクさせる原理を、これまで「階段」と「コーヒーカップ」を使って説明してきた。


これらの原理を発展させることによって、最終的にゴルフショットの「方向合わせ」の技術は、ゴルファーが手に持つ「道具(=ゴルフクラブ)」と「重力方向の感覚」をリンクさせることで達成される展開になるのだ。(少しネタバレになった)



これまでの説明で、まだゴルファーのスタンスや両肩のラインなどについての話が一切出てきていないことを不可思議に感じるゴルファーもいることだろう。


もちろんゴルファーの体が関与しないゴルフスイングなど存在できる筈も無いから、著者のゴルフ理論もどこかで「ゴルファーの体」が関与する内容に展開する筈である。


このことを少し先走って説明しておくと、著者のゴルフ理論において、もっとも先に決めるべきアドレス時の部位は「頭の配置」である。原理的に頭の位置が先に決まって、固定されない限り、ゴルファーが地面の傾斜を精密に読み取る作業に移ることが、不可能であるからだ。


具体的に「頭の位置」をどのように決めるのかというと、インパクトの瞬間にクラブヘッドが「求める角度と位置」を再現した「ゴルフクラブの配置」と「アドレス時の体」との融合によってである。


ゴルファーが最初に頭の位置を、まったく意味不明な場所に固定したら、そこからゴルフクラブを使って上手くボールを打つことができなくなってしまう。よって固定すべき頭の位置は、それなりに合理的な配置である条件を満たす必要があるので、


もっと具体的に言うなら、右手に持ったゴルフクラブをボールの直ぐ後ろへと微調整する動作と、アドレス時の頭やグリップの配置が大まかに決定する「全体の流れ」が全て同時進行するように、次々と決定していく「所作」として上手くアドレスに入れなければ、実戦では通用しない訳である。


さらに具体的にその技術を説明するなら、ゴルフクラブのヘッドをボール付近の地面に「ソール」させるのと同時に、一瞬でもそのゴルフクラブは、ゴルファーの手先から離れなければならない。


クラブヘッドを「地面にソールさせる」ことは、地面の傾斜とゴルフクラブを「リンクさせる行為」に他ならないからだ。


例えば、水平な床にクラブヘッドを正しくソールさせると、その瞬間にそのゴルフクラブは重力方向とリンクすることになる訳だ。斜面(=重力の把握と同じ意味を持つ)に対してクラブヘッドを正しくソールさせた場合も、ゴルフクラブはその斜面(=重力方向)とリンクする格好になる訳だ。


この「クラブヘッドを正しくソールさせる」という所作の理論的な背景を説明しなければ、この文章の意味が明確に分からないだろうから、次回はその話をしたいと思う。


(続く)

ゴルフショットの方向合わせ(17)

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たとえ水平な床の上であっても、使うクラブの番手によって、ボールとゴルファーの距離は微妙に違う。それによって、本来なら全部同じである筈の「水平な地面」の見え方が、番手ごとに変化することが明らかにされた。


その変化は非常に察知しにくいものだから、階段を観察して、段ごとに変化する床の見え方を知れば、それが理解しやすくなるだろうといった話を前回したばかりだ。


だがその一方で「人の思い込み」というものはかなり強力だから、階段を観察する程度の努力では、クラブの番手ごとに変化している微妙な床の見え方の違いを察知するには至らないことを、著者は重々承知している。


例えば、立った状態で机の上を見る場合と、そこからイスに座って机の上を見る場合とでは、机の上の面積や角度に大きな変化が生じる訳だが、このような当然の変化であっても、人は脳内で「立っても座っても机の角度は同じ」といった知識による編纂処理がなされて、、実際にその人の目には、机の上の見え方に何の変化も起きていないかのような「錯覚」を覚えてしまうものなのである。


(目の前で起きている変化が無かったことにされてしまう?!)


前回紹介したばかりの「階段」についてもこれと同じことが言える訳だ。


次の図を見て欲しい。


この図はアイソメトリックと呼ばれる、パースを無くした特殊な図法で描いた「階段」の絵である。このアイソメトリック図法で描いた階段は、画面の上を45度の角度で統一した直線で構成されている。


パースがない図なので、階段の奥が巨大化したような奇妙な感覚に陥るかもしれない(実はその違和感こそが、正しい感覚なのだが・・)。


特にPCの大型モニターで見るとその違和感が強くなるから、モニター画面を1.5メートルほど遠ざけて見た方た落ち着くだろう。(スマホの小さな画面なら、よほど近付けて見ない限り大丈夫である。)


落ち着いてこの絵を見ることができたら、図面の中の階段が全て同じ平行四辺形で構成されていることに着目して頂きたい。


確かに階段は図が示すように「等しい大きさの段差が連続した構造」である。その意味では、このアイソメトリック図法による階段の図は、より正確にそのことを表しているかもしれない。


だが、そのような知識(=思い込み)がゴルフに与える影響は無視できない。


コーヒーカップに水を入れて、クラブの番手ごとに変化するボール位置と重なる構図で写真撮影してみた理由は、そのような微妙なボール位置の違いで、それぞれの写真に映るカップの角度が変化してしまう現実を目にしたとしても、実際の人の目というものは、そのような些細な角度の違いを全部相殺するように、脳内で編纂処理をしてしまうものだからだ。


どのボール位置の構図のカップも「ぜんぶ同じ角度である」といった虚構を脳内でリアルに感じてしまえる能力が、人にはあるという事なのだ。


事実、このアイソメトリック図法という「虚構の階段」を目にしてみても、それなりに落ち着いてリアルな階段の図であると思い込めてしまえる筈だ。(大きなモニター画面で見ると違和感を覚えるかもしれないが、画面を遠ざけると落ち着いて見れてしまう筈なのだ)


このような由々しき状態は、ゴルフをするゴルファーの身にも起きている現象であると考えるべきだ。勿論それは、ゴルフショットの結果に懸念すべき機能障害を引き起こす原因となりうるものである。


もう一度この写真を見直して欲しい。



写真のように「リアルな階段」は、パースによって段ごとに角度の違いが生じるものである。


その違いはとても微妙なもので、故にデッサンなどの特殊な訓練を受けた者でも、正確にその違いを掴みにくいというのが現実である。その原因は、人の脳が階段のような単純な構造物を、アイソメトリック的な感覚で「全て同じ角度である」と把握しがちになるからだ。


ゴルフショットの方向合わせに関わる重要な原理は、これまでの説明でかなり理解されたものと思うから、先に進もう。


いよいよ次回から、実際のゴルフで、この懸念すべき「地面の傾斜」についての間違った思い込みや錯覚したものを、著者がどのように「正確なもの」として把握し直し、ショットを行っているのかという、具体的な話に入ろうと思う。


もちろん、このブログで開示してきた中でも最大級に重要な「技術論」であることは間違いだろう。


(続く)

ゴルフショットの方向合わせ(16)

ゴルフショットを打つかなり前の段階で、ゴルファーはボールのすぐ後ろにクラブヘッドを置いて、クラブフェイスの向きを調整しなければならない。


その際、ボールの位置は使う道具によって変化する。ゴルフクラブの長さが番手ごとに違うからだ。最も飛距離が出るドライバーが道具としても一番長くて、逆に最も飛距離が出ないパターが最も短い道具である。


一般的に使う道具が変わるとスイングも変わるものとされている理由もこれに伴うもので、つまり長い道具ほどスイング軌道がフラットになり、短いほどアップライトになるという単純な道理があるという訳だが、


実際はスイング軌道の変化よりも、パース理論的に発生している「番手ごとの方向感覚」の違いの方がずっとゴルフに与える影響が強い。(影響が強いというより、ミスショットの原因になりやすい要素である、という表現の方が分かりやすいかもしれない。)



これまで説明してきたように、上の写真に見られるような、番手ごとにボールが置かれている地面の傾斜が変化することの方が、ゴルフ競技に強い影響を与えるという訳だが、それをよりハッキリとさせる為に、写真のコップの水面に釣りで使う「ヘラウキ」のようなものが浮いている状況を想像して、(それをパース理論的に計算した結果として)次の写真のように「線」を描き込んでみた。



もしコップの水にヘラウキのような、垂直方向を指し示すような棒状のものがあったら、この写真のような感じになる筈である。描きこんだ線は、著者がパース理論的に計算して描きこんでいる為、もしリアルにヘラウキをコップに浮かせたとしても、これとほぼ同じ格好の棒状の配置になる筈であるから、それなりに信頼して貰っても良いだろう。(もし著者の計算を疑るなら、本当にヘラウキのようなものをコップに浮かべて実験してみて欲しい)


この写真に描きこまれた棒状のものは、見ての通りそれぞれまったく違う角度で配置されている。


この3つの角度の違いは、長さが違う14本のゴルフクラブに、それぞれ固有のものとして現れる違いであると理論的に言えるものである。もし14本全ての番手の角度が「全て同じもの」であると誤認してしまうと、その思い込みがゴルフ競技に与える影響は計り知れないものとなるだろう。


問題は、これらの角度の違いをどのように理解すれば良いのかという技術的な課題が残ることだが、(著者は)それも既にブログで提示している。


何かといえば、階段の話である。階段の写真をもう一度見直して頂きたい。



階段における「段差ごとの見え方の違い」とまったく同じ理屈なのだと考えれば良い訳だ。


パターやサンドウェッジのように短い番手なら一番手前の床を真上から見下ろす感じで済む話かもしれないが、それより少し長いショート~ミドルアイアンの番手ならひとつ階段を上がった辺りにボールが置かれていると想像してみたら良いのだ。さらに長いロングアイアンならひとつ上の3段目で、もっと長いフェアウェイウッドなら4段目、長尺のドライバーなら5段目の上にボールがあると想像してもらえれば良いかも知れない。


このように番手ごと階段の段差のような「見え方の違い」があるのだと考えれば、パース理論的な課題が把握しやすくなると思われるのだ。


(続く)